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新潟市は人口約77万人を擁する日本海側の中核的都市として知られています。2004〜5年度にかけて近隣13市町村と合併して政令指定市となりましたが、合併に参加した有料化3市の1人1日当たりごみ量が無料の旧新潟市とその周辺自治体に比べ2割程度少なく、減量化が進んでいたことが、新しい新潟市が家庭ごみ有料化に踏み出す直接のきっかけとなったようです。

新潟市の有料化は2008年6月に実施されました。対象は可燃・不燃ごみ。1L=1円(大袋45L=45円、可・不燃各5容量種)の手数料水準については、ごみ減量化に効果的な負担感と市民の受容性のバランス、近隣市町村および市内有料化地区の手数料水準を考慮して設定されました。当時私も、有料化実施後1年間の減量効果が出た頃を見計らってヒアリングに出向き、意見交換することがありました。

最近、富山市主催の「家庭ごみの減量化・有料化を考えるフォーラム」に招かれたことを受け、紹介しておきたい近県の好取組み事例として、新潟市のホームページに掲載されている経年の清掃事業概要を久しぶりに覗く機会がありました。新潟市の有料化実施前後の家庭系ごみ排出原単位は、表1に示すように、有料化前年度(2007)比で翌年度(2009)29%減、5年目年度(2013)30%減(ここまでは私が実施した「全国都市有料化アンケート調査」で確認済み)、そして直近(2022)で35%減と大幅なごみ減量が実現されていました。1L=1円の手数料水準としては、希に見る減量効果が出たこと。これが特徴の一つ目です。

有料化により家庭系ごみ減量効果が大きく出た最大の要因は、有料化の併用事業として枝葉草と紙類の行政回収を実施したことではないかと思います。そのほか、小規模事業所ごみの集積所への排出禁止、市民の発生抑制行動の強化も要因として挙げられます。

新潟市有料化のもう一つの特徴は、手数料収益(=手数料収入−有料化制度運用経費)について、「有料化の目的がごみ減量・リサイクル推進であることから、ごみ処理費に充当せず、すべてごみ減量促進やコミュニティ活動支援などで市民還元する」(当時の市担当者の話)としていること。表2に手数料収入の市民還元先を示しました。全国的には(1)が多く、一部に(2)を加える自治体が散見されるところ、(3)のように市民のごみ出し支援活動に対する助成、町内会やNPOによる地域を住みやすくするための活動に対する助成にまで展開する取組みは、有料化制度に新たなフロンティアを切り開く試みとして注目に値します。

市廃棄物行政のこれからの重要な課題の一つは、収集の効率化です。新潟県市町村の多くは、バイオガス化と生ごみ分別収集を導入した上越市や長岡市を別として、可燃ごみの週3回収集を続けてきました。現在、新潟市も可燃ごみを週3回収集としており、収集の効率化とさらなるごみ減量化の観点から、全国標準の週2回への収集頻度の見直しが検討のテーマとなりそうです。



表1 新潟市有料化実施前後の家庭系ごみ排出量
2007
前年度
2008
有料化
2009
翌年度
2013
5年目
2022
(参考)
排出量
194,563t
160,285t
142,087t
138,986t
126,089t

1人1日当たり
排出量
(減量率)

679g

547g
(-19.4%)

485g
(-28.6%)

478g
(-29.6%)

443g
(-34.8%)

(注)有料化実施:2008年6月
   ここでの「家庭系ごみ排出量」は資源物を含まない。
   ( )内は、有料化実施前年の2007年度と比較した減量率。
(出所)新潟市清掃事業概要各年度版



表2 新潟市手数料収入の市民還元先

市民還元事業財源:約5億円

(1)資源循環型社会促進策
 ・集団資源回収奨励金
 ・拠点回収等資源化制度維持
 ・クリーンにいがた推進員育成
 ・ごみ集積場等設置補助金
 ・啓発情報誌発行・アプリ普及
 ・生ごみ減量化・食品ロス削減

(2)地球温暖化対策
 ・環境教育・環境学習支援
 ・町内LED防犯灯設置補助


(3)地域コミュニティ活動の振興
 ・ごみ出し支援事業
  ごみ出し困難世帯支援活動への
  助成
 ・地域活動への支援
  地域課題の解決を図る活動
  支援額:20万円迄/町内会

(4)未来投資に向けた取組
  (2021年度より追加)
  ・環境学習のモデルプログラム
  ・環境優良事業者認定制度

(注)(1)の・は主なもの。
(出所)新潟市ホームページ掲載資料。

 

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