ごみ減量や不法投棄自粛など望ましい行動をいざなう仕掛けやメッセージを込めた啓発ツールとして、地方自治体のごみ担当部局がナッジ(nudge)に関心を寄せています。ナッジとは「ひじで軽くつつく」の意、転じて「そっと後押しする」こと。人の心理に働きかける、ほんの少しの工夫、それが行動経済学でいうナッジです。
この人の心理に働きかける手法は、かなり以前から廃棄物行政において用いられてきました。不法投棄対策としての鳥居設置やペットボトルキャップ回収容器の工夫について前回取り上げました。
今回は、自治体の有料指定袋についてのナッジ活用例を紹介します。
写真Aは、東京都武蔵野市の家庭ごみ有料指定袋(可燃ごみ・不燃ごみ共用)です。その表示が振るっています。指定袋のど真ん中にカエルらしきキャラクターが描かれ、ごみ出しをしようとする人に対して「いま捨てようとしているのは」と、待ったをかける。「ごみですか?」「資源ですか?」と問いかけて。
福岡県柳川市の「燃やすしかないごみ袋」(写真B、同市ホームページより転載)の工夫もなかなかおもしろい試みです。市は2021年4月から有料指定袋の名称を従来の「燃やすごみ」から「燃やすしかないごみ」に変更しました。京都府亀岡市も2023年4月から有料指定袋の名称を同様に変更しています。
ちょっとした工夫により、市民の分別行動によい変化がもたらされることが期待されています。
<写真A> |
<写真B> |
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武蔵野市有料指定ごみ袋 |
柳川市燃やすしかないごみ指定袋 |
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